« 爆弾が墜ちた、蓮上院土塁 | トップページ | 北条氏照の、小田原「奥州屋敷」 »

2010年10月 5日 (火)

誇り高きデザイン「鍋島展」

まさに誇り高い!
ハイ、ハイヤー、ハイエスト・・・エクスペンシブ!
サントリー美術館の「誇り高きデザイン 鍋島展」を見てきた。

Image10081 ~染付雲雷文大皿(ポストカード)~

「鍋島」とは

詳しくないが、知ってる範囲だけ。
佐賀鍋島藩の公用窯で、お殿様の自家用、他大名家へのギフト、将軍家への献上用のためだけに焼かれていた。一般市場には出なかった焼き物である。民間に出回るようになったのは徳川幕府が崩壊した明治になってからだ。


「鍋島」を代表する赤絵の技法は、今泉今右衛門家、門外不出・一子相伝・他言を許さず。それは、現在の14代まで続いている。藩窯は大概そうだが、「鍋島」は秘密保持のため特に人里離れた山奥の窯で焼かれていた。

昔、私は茶道を習っていたが、私のようなただのお稽古人でも段階を上がるにつれて、先生から直伝の教本には載ってない「他言を許さず」的なお点前を教わるのだから、伝統的なものにはすべからくそういうことがある。とはいえ、私なんかがお点前を他言したって殺されやしないが(それ以前に忘れちゃってて他言できないが)、当時は命にかかわることだった。


若い頃は備前とか信楽とか唐津とかの土物の「作家物」が好きだった。有田や九谷などは古臭いと思っていた。年齢がいって、ある日ふと食卓を見た時、「なんだか地味~、暗い~」と思い(だいたい歳をとってくると食べ物もショボくなるからよけい地味だし)、それからは、お小皿とか小鉢に「匠の技・職人仕事」の色絵の磁器を使うようになった。といっても旅行した時にちょこっと買えるようなもので大したものじゃあない。


そんなこんなしているうちに輪島塗屋にご縁ができ、そこからの繋がりで今右衛門家のご当主(代表)にお話を伺う機会が何度か出来た。数年前、熱海のMOA美術館で「鍋島展」があった時、ご当主が「ここまで鍋島が一堂に揃うのはまずない」とおっしゃるので、それじゃあと見に行って、目からミツウロコ。


以下、わらわの主観たい

17世紀後半~18世紀の鍋島の、なんてモダンで垢抜けていることか。古臭いなんて言ったのは誰ばいっ!特に、小鉢(向付)や小皿に描かれた上絵の力強さ。デザインは洒落てて、しかも上品なことと言ったらないばい。一尺の大皿も素晴らしいが、小さな器の方がそのパワーがよりキュッと凝縮されているように思える。

器の縁取りが無いものが多く、それはつまり、上絵が器の外へ シュワッ と、はみ出すように描かれているということである。

器の裏側にも、それが表といってもいいくらいの絵付けがなされている。小さなお皿でもほとんど高台があり、それも高さがあって、そこにも絵が描かれているのだ。さすが御殿用。ステキ


それぞれの‘色’もハッキリクッキリではなく、微妙なニュアンスがあり、その色のグラデーションの種類の多さにも驚いた。‘青’ひとつとっても、どれだけの種類の‘青’が使われているのだろう。昔、「染付(藍&白のね)ってつまんない」と思っていたが、それは、安い染付しか使ってなかったからで、17世紀後半~18世紀の鍋島の染付を見たらそんなことは言えなくなった。


上の写真の染付雲雷文大皿
大皿の中央の白い丸い部分は、写真がヘタでぼやけているのではない。ボワボワボワッと光って見えるように、周りを「墨はじき」の技法でボカシているのだ。雲と雷と差し込む光。美術館の暗がりに浮かびあがる、青と白しか使っていないこの一枚のお皿は、まるで「日蝕」のようだ。


今回のサントリー美術館では、ところどころで、「鍋島」がヒントを得た元となる民窯の有田等の焼き物が隣り合わせに展示されていた。説明にそうは書いてないが、「ほ~ら、こがん違っとっとよ」ということでしょ。すごい自信だが、それだけのものはあるなあ。

もちろん他の民窯のものも素晴らしいが、 「緊迫感」 が違うのである。皆さんも、これは、焼き物に限らず漆器でも絵でも、石垣でも、安土桃山時代から江戸初期の物に特に感じると思うが、これはやっぱり、失敗したら殺されるかもしれない、というぎりぎりの仕事からくる迫力なのかな。


サントリー美術館の「鍋島展」は11日(祝)までなので、もしお時間あらば、目からミツウロコを落としに是非行ってみてくんしゃい。「墨はじき」の技法を得意とする、当代・14代の作品も見られっとっとっとよ。


それから、今右衛門さんの東京店では、
10/16(土)~23(土)は、「至福の一献・想いのこもった酒気との語らい」を演出した器展だそうだ。こちらは現代の今右衛門の陶工達の匠の技である。

ちなみにマリコ・ポーロ、鍋島は・・・持ってない(買えない)。

今泉今右衛門さんのHPばい。
http://www.imaemon.co.jp/

そいぎ~。←佐賀弁で「ほな、また~」


コメント欄をもうけさせていただきました。公開はいたしませぬので、ご感想なりいただければ嬉しいです。

画像は全てマリコ・ポーロが撮影したものです。画像と記事の持ち出しは平にご容赦願います。

にほんブログ村 歴史ブログへ
にほんブログ村

にほんブログ村 歴史ブログ 日本の伝統・文化へ
にほんブログ村

|

« 爆弾が墜ちた、蓮上院土塁 | トップページ | 北条氏照の、小田原「奥州屋敷」 »

11.漆・金箔・伝統工芸など」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 誇り高きデザイン「鍋島展」:

« 爆弾が墜ちた、蓮上院土塁 | トップページ | 北条氏照の、小田原「奥州屋敷」 »