戦国まつり「自前甲冑隊」の応援団
実はつい先年まで「武将隊」というものにまったく興味がなかった。
観光地やテレビなどで「なんたら武将隊」なるものをよく目にし、失礼ながら「武将隊」とは、歴史なんかほとんど知らなくて、ゲームやコスプレが好きな人達かと思っていたのた。昔からの仲間達や同僚達もほぼ皆同じ見解だった。
ところが、だんだん、どうやらそうではなさそうなことに気が付いた。以前の私のように思っている方達のために、また、「武将隊」活動をやりたいと密かに思っているアナタ様(誰?)のために、私の知っている範囲で「武将隊」のことをご紹介したいと思う。
~米沢上杉まつり。謙信公もおわす。~ その前に、先日の鉢形城「寄居北條まつり」の補足を
これ、私、全然知らなかった。
今頃知った・・・遅過ぎ、アホちゃうか。ルールがあるんですって!以下、三増寸劇で活躍された義虎さんの記事の一部抜粋です(ご了承済)。義虎さんも寄居にご出陣。
▲ この「寄居北條まつり」、知らない方のためにちょっと説明すると、合戦再現では、穂先を柔らかく加工した特別製の槍を用いて、ガチンコでど突き合うという凄いまつりなのです。
甲冑の鉄部分(防御されている部分)ではないところを突く・斬るなどされたら負け。顔面への攻撃は危険なので自主規制。といったルールが存在します。
そして、前日には誰が呼んだか「天下一武道会」と呼ばれるイベントがあり、このルールにのっとってトーナメントを行うのです。▲
ほへ~、これを知らずして何を見に行ってたんでしょうね、わらわ。勝ち負けにはシナリオがあるのかと思っていた。これが、過激なまつりと言われる所以なのね~。
お祭りの様子は、You Tube に少しづつアップされ始めたので、ぜひご覧くだされ。例えば「寄居北条まつり 一騎打ち 2011」などは、上に書いたルールがよく分かる。
そうそう、寄居北條まつりは、出陣式や攻防戦中などが、ほとんど生の演奏の中で行われる。鉦や太鼓、琵琶、尺八。これが当時らしくてまたいいのだよ。
~越後の謙信公祭 。謙信公が写っておる(左端)。~ やっと「武将隊」の話
さて、最近よく見聞きする「なんたら武将隊」とか「なんたらおもてなし武将隊」とは、地域興しや観光客誘致のために準公務員待遇で地元の宣伝をするという役目を任されている武将達のことだ。
この方達は観光サービス業であるため、大いに目立って大衆にアピールし、ご当地の宣伝をしなきゃならないが、それとは違う武将達もある。
それは、ここ最近、拙ブログでも度々ご登場いただいている武将達である。
仕事でも地元保存会でもなく、趣味で「武将」活動をしている方達だ。ほとんどの方達は、地元やご贔屓の城や町の保存会にも入ってらっしゃるが、その他の地域の戦国(たまに幕末や源平時代)行事にも転戦する。
趣味なので甲冑はほぼ自前である。ゆえに彼らを「自前甲冑隊」と呼ぶ。
武将隊としてイベント行事に出陣するにはどうしたらよいのか。
自治体や、各まつりなどの実行委員会の、 「求む!武将」 みたいな告知を見たり、仲間達でも情報を矢文(ネットやブログ)で交換しあったりして、各地のお祭りイベントの武将募集に応募するらしい。
オーディションがある場合もあるし(このオーディションもイベント化しているところもある)、逆に先方から「また来年も頼むね」と出陣依頼が来ることもあるそうだ。某まつりの武将募集の衣装のところに、「主役をくわない程度」とあったのが可笑しかった。
女性もOK。お姫様やお方様もいいが、男女雇用均等法に基づいた(?)武将募集に男も女も、そのどちらでもない方も関係ない。私の知人武将殿にも女性がいる。小姓や若武者のようでなかなかりりしい。それに、戦国時代だって女武者はいたし。ただ、女性の場合の要注意。メイクは色無で願いたい。
私達が歴史まつりで目にする、お揃いではない様々に凝った各人多様の甲冑姿の武将達はほとんどこういう方達だ。他の趣味、例えば、お茶や書道やダンスやマラソンやカラオケやゴルフと同じで、皆さんプロではなく趣味だから手弁当で参陣する。参陣料が必要なところもある。お稽古代?だって自腹だ。当然に報酬もない。
私が存じ上げている武将方はこういう方達なのでこちらの方の話をさせていただきたいと思う。これが、凄いのである。今まで認識違いをしていて誠に相済まなかった。
~さしま古城まつり(逆井城)。~
▲ 自前甲冑武将は、歴史関係の知識が凄い。
皆さん本や史料をよく読んでいるし、博物館や資料館やセミナー・講演会にもよく行かれる。戦術や戦法などはもちろん、甲冑などの装束や刀剣に関する知識なんて半端じゃない。私なんて、全然足元にも及ばない。
▲ 自前甲冑武将は、♪ 夜なべ~をして、お裁縫?や工作?をする。
大河ドラマの甲冑などを製作している○○に大金を投じて発注したり(趣味だからね、ゴルフクラブや釣り竿やカメラやオーディオなんかと同じ)、専門の骨董屋から入手する場合もあるが、なんと!自分でも作るのだ。
小袖や陣羽織などは古代裂などを探し歩き、出来あいのものをカスタムしたりもする。手甲も籠手も作る。脛当も作る。前立も作る。草鞋も動きやすいように改良する。なんだって作る。
同陣するご正室様の装束を作って差し上げる武将もいらっしゃる。武将は優しい。
(これは、例えば釣りに行くのに、リールや仕掛けの前準備や、現場でルアーを自分で付けられない奥方のために全てをやって差し上げる旦那様のようなものかしらねえ。)
だから、武将隊は装束を研究する。時代やTPOが違うと、他の武将や詳しい見学者から突っ込みがはいるし、なにより自らも納得しないからだ。よくブログに、「出来た!どやっ!」と作品の写真をアップで載せているのをご覧になる方もいらっしゃるだろう。武将は 匠 である。
また、帰陣後、雨や汗に濡れた装束や装備のお手入れは欠かせない。
武将になりたいが、まだ自前甲冑を持っていないという方達のためには、貸出と着付けのお手伝いもしてくださるところもある。ためらわず、聞いてごらんになるとよいと思う。
▲ 自前甲冑武将は体を鍛え、習い事をしたりもしている。
出陣の際は、たとえ灼熱地獄でも、一日中甲冑を身に着けてパレードやパフォーマンスをしなければならないので非常に体力を使う。日々のトレーニングの他に、格闘技や居合や薙刀や乗馬や弓などの古武術や、雅楽や、舞などを習ってらっしゃる方もいらっしゃる。教えている側の方も当然ながらいらっしゃる。
こういうことをやってらっしゃる武将は、やはり合戦シーンではメインになるし、甲冑が似合うし、所作(儀礼などのデモンストレーションの時)や歩き方(武者行列の時)が様になっている。
~白石戦国武将隊「奥州片倉組」。こういう方達は「自前甲冑隊」ではなく、自治体公認武将隊ですな。(静岡戦国まつりにて)~
▲ 武将は、ひとりオタクの世界では出来ない。
武将に限らず趣味の会というのはどれも同じだが、仕事場じゃないだけに、逆に、カテゴリーや目的意識が違う人達が集う。そこで一つの事を成さねばならないということは、そこは、色々な人間関係が生まれる。協調性がなければ参加できない。
それは、なんでもそうなのだが、他の趣味の会と違うところは、「武将隊」の舞台となるおまつりやイベントは、自治体の公務員さん方のように仕事の一環として関わる人達や、地元商工会やスポンサーなどや、有名人と有名人率いるグループなどの利害がからむ人達などなどがメインである。ゆえに、そういう大人の事情に寄り添わなければならないところも、大人の皆さんならご想像がおつきだろう。
▲ 自前甲冑武将は、みな、キチンとしている。
そうか?
まあ、全員がとは言わないが、一見 バンカラ(←死語?)でも、健さんみたいに不器用でもシャイでも、無骨でも、ほとんどの方は交換するメールやコメントなどの文章も言葉づかいも非常に丁寧である。
皆さん本をよく読んでらっしゃることもあると思うが、なにより、
武士ですから。
~歴戦のつわもの達。堂に入ってるわねえ。昨今の某大河の出演者などより全然気持ちが入っている。~
と、僭越ながら勝手に考察させていただいた。「な~に分かったようなことを言ってんだい、そんなんじゃないぞ」とおっサル武将の方達もいらっしゃるだろう。誠に、ご無礼つかまつった。遠慮のうおっしゃってネ。
そりゃあ、自己満足とか達成感が得たいとか、仮想の時代空間に身を置きたい(これは見物人=私、も同じ)とか、ナルシスト・ナルちゃんもいるだろう。戦闘好きもいると思う。だって趣味だもん、いいじゃん。でも、皆に共通していること。それは・・・
歴史が大好き。地元が好き。自分達が生まれた国はこんなにたくさんの歴史をかかえ、自分達の先人にはこんなにカッコイイ人達がいたことを知ってほしい!と思っていることだと思うのだよ。たぶん。
それに、こういう武将達が、歴史まつりでの華 であり、三増合戦まつりでも書いたが、観光客誘致や地域興しの大きな力となっていることも確かである。
自分も楽しめ、社会の役にも立つ。実にいい趣味で羨ましい。
私なんぞの、「どこどこに行ってきました~、スマホがアホや~、コメントに頭きた~」 などとやっている趣味なんか、世の中のなんの役にも立たない。
それから、武将達は行事の最中は厳つい顔をしているので(プロでないから緊張もしている)、話しかけるのをためらっちゃうお子さん連れの方などいらっしゃるかもしれない。遠慮するなかれ。出番待ちとか、そのへんをブラブラ?している時は、ぜひ、「一緒に写真を撮ってくだされい」と一声かけてみよう。
喜びます。
今年、これから行ける、わらわのブログ仲間の武将達が出陣する予定のちょっと大きな行事。
箕輪城まつり
10月30日(日)
関東管領・上杉の憲政オジが謙信公を頼って逃げちゃった後も北条や武田と戦い続けた、壮絶な武人父子、長野殿の城ですね。
坂戸城築城五百年祭
11月4・5・6日(金・土・日)
景勝の城ですな。政景殿(パパ景勝)は永井大さんだそうです。
4日に、現上杉家ご当主・上杉邦憲氏の講演会があります(申込制かもしれない)。わらわ、一緒に写真を撮っていただいたことがあるのよ(自慢)。 嵐山(らんざん)時代まつり
11月6日(日)
時は鎌倉時代なり。
嵐山は畠山重忠ゆかりの地だそうだ。畠山重忠とは、頼朝の有力御家人で、政子さんの女兄弟の夫でもあるそうだ。宇治川、一の谷、屋島、奥州と、メインの戦にはほぼ華々しく参陣していたが、例によって、鎌倉幕府のドロドロした争いで、二俣川にて討ち死にしたそうだ。享年42才のイケメンだったそうだ。
そうだ、そうだ、というのは私この方のこと良く知らない。大河「草燃える」では、ウルトラセブンが演ってらした。来年の大河にも出るかしら?
深谷市のHPが面白かった。
「武蔵武士 畠山重忠辞典」
http://www.city.fukaya.saitama.jp/syougaigakusyu/web_sigetada_jiten/index.html
なぜか畠山重忠に引っ掛かってしまったが、おまつりでは、
総大将にご注目!
浜松出世城まつり
11月6日(日)
徳川vs武田。徳川が大負けした、「合戦絵巻~三方ヶ原の戦い」が行われる。 忍城時代まつり
11月13日(日)
のぼう様と甲斐姫の城でござる。
例の小説には、わらわ言いたいことは多々あるが、おまつり自体は楽しそうでござる。
真田幸村にご注目!
11月27日(日)予定
某城。
まだ、公式発表できない。小さなイベントでござるがとても楽しそう。OKになったら当ブログでもご紹介いたす。
ちなみにマリコ・ポーロ、10月に土日お休みしすぎたため、全て、
行けない。
では。。
コメント欄をもうけております。公開させていただいてはおりませぬが、ご感想なりいただければ嬉しいです。
画像は全てマリコ・ポーロが撮影したものです。
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